複雑なデータベース構造を含む事業支援システムの開発において、データモデルを整備・維持することの重要さは今では広く知られるようになった。いい加減なデータベース設計のせいで後任者が保守に疲弊している。こんなガラクタにパッチを当てる仕事を続けて…
本ブログでの記事「基本設計から逃げるための手法:要件定義とアジャイル」へのPhil(id:nekosoi)氏のコメントが興味深い。 こんにちは。 本ポストと似たような問題関心からDDDとアジャイルの経典を読み漁ったり、WEB系のコミュニティに顔を出しています。 そ…
AIが加速するIT技術者の少数精鋭化 AIにテーブル構造やコードを生成させて手早く業務をアプリ開発できた。そんな事例を耳にしたことはないだろうか。たしかに嘘ではないのだが、アプリとしてはズッコケるくらいに小規模なものに限られる。その程度のソフトウ…
受注情報のテーブル設計を生成AIに問い合わせると、たいてい図1の[1][2]のような答が返ってくる。ネットで調べてもそのような事例が数多く見つかるので、AIもそのように答えるのだろう。私は[1][2]ではなく、[3][4]のようにすべきだと常々主張している。そ…
kawasima氏がXで示したデータモデリング課題に応えよう(図1)。主キーが明示されていないので、Userでは{名前}、Countryでは{国}が主キーとみなしておく。 図1.kawasima氏による課題 私の答は①である。②は正規化された①から導出されるビューに過ぎな…
住民の身分(誰の子で配偶者は誰か)を記録する「戸籍」は、血縁関係を証明するために欠かせない台帳である。その歴史は古く、淵源は天智天皇による班田収授にあるとも言われる。これをどのような形式でデジタル化すべきかは、情報処理技術者がもっと関心を…
前回記事で、一般会計向け歳出予算管理システムの合理化の必要性、および予算編成に関する基本情報のデータモデルについて説明した。後編ではいよいよ歳出予算およびその執行に関するデータモデルを見てゆく。 歳出予算のデータモデル 予算は年次で決まると…
以前から国家予算のデータ構造に興味があり、拙書「データモデル大全」でも取り上げた。その後に得た知見にもとづく、より詳細かつ効果的なデータモデルがまとまったので紹介したい。従来の管理方針で生じていたさまざまな問題を解決するための仕掛けを、2…
業務システム開発においてユーザの要望を理解することは重要で、そのため彼らに多くを尋ねまわる必要がある。それを認めたうえであらためて言っておきたいことがある。ユーザに「どんなUI(画面や帳票)が欲しいですか」なんて訊いてはいけない。「どんな業…
技術者仲間であり、ローコード基盤Wagbyの開発者であるジャスミンソフトの贄氏による「揺れ幅最大の超難物データ、日本の「住所」をどう整えるか」が興味深い。あまり知られていないが、日本の住所体系は驚くほど混乱していて、その利用やデータ管理に無駄に…
「基本のキ「簿記のデータモデル」を学ぼう」でイミュータブルデータについて取り上げたが、これに関わる「イベントソーシング」の考え方について説明しよう。理解しておいて損はないモデリングパターンだ。 ただしそれらは、一部で期待されているような「シ…
「単独主キー主義」には重大な欠陥があると書いたが、それがもたらす弊害の一例を挙げたい。単独主キーにこだわると、主キーそのものを軽視するようになり、DB設計の基本である「正規化」がよくわからなくなる。とくに第2正規形と第3正規形の違い、言い換…
現在、IT系の仕事の中でデータアナリストは高い人気を博している。大手を含めて日本企業の大多数は情報活用が出来ていないので、データアナリストやその志望者にはブルーオーシャンが広がっているように見えるかもしれない。しかし、情報の分析・活用の現場…
毎日のように個人情報の漏洩事件が起きている。自分の情報が売買されていると思うと腹立たしいし、変な詐欺商売から狙われるのではないかと心配にもなる。企業もうんざりしている。個人情報は大事だが、管理することの面倒さが半端でない。しかも、内部の人…
複雑なデータを構造化する際に欠かせない数学的概念である関数従属性や定義域制約(前回記事参照)をガン無視する「単独主キー主義」とはいったい何なのだろう。すべての主キーを「id(identifier)」にするとして、それは対象システム内の何を識別(identify)…
「単独主キー主義」では行き詰まる すべてのテーブルに「id」のような単独主キーを付与する設計手法(単独主キー主義と呼んでおく)がある。昔から見かけるやり方だが、WEBアプリやノーコードの普及とともに一般的になった。今では大勢を占めているように見…
応用情報技術者試験等でのデータモデルに関する設問に、"在庫"や"受注"といった具体的な業務用語が含まれる点について、ずっと違和感を感じている。データモデリングの本質は「構文論」であって、業務知識とは本来関係ない。ゆえに、業務用語を絡めた設問は…
標準化された自治体システムは、国内のさまざまな情報処理のインフラとなる。その一例として、診療実績とレセプトとを組織化するためのデータモデル(帳簿組織)を説明しよう。医療技術を発展させるための基礎情報を確立するとともにレセプト処理を合理化す…
東日本大震災の直後、歴々のIT技術者が集結してあるボランティア活動が始まった。自治体システムと連動した、被災者を支援する情報システムを生み出すためのプロジェクトだった。鳴り物入りで始まったが、けっきょく数年で音沙汰がなくなった。理由はいろい…
国による自治体システムの標準化が進んでいる。全国津々浦々で運用されている自治体システムの仕様が統一され、システムそのものも1個か少数に統合される。そのように多くの人は考えているが、そうではない。日本には1741の市区町村があり、共同利用を含めて…
ここで言うタレントとはテレビ番組をにぎやかに彩る職業ではなく、字義どおりの「才能(を持つ人)」のことだ。とはいえ、なんらかの技能ゆえに起用されるという意味で、芸能人とシステム開発者の間に本質的な違いはない。芸能人が所属する芸能事務所とシス…
デジタル庁の自治体システム標準化プロジェクトが危うい。2024年6月26日に開かれた課題検討会議にて、データ連携の標準仕様に問題があることが各自治体の標準化に携わる事業者から指摘され、それらについて事業者間で協議のうえ調整する旨が示された。ここで…
多くの開発ベンダーには基本設計フェーズで求められる能力、すなわち「顧客の問題を解決するシステム仕様の構想力」が決定的に不足している。彼らが遅かれ早かれ始めるのが、顧客自身にシステム仕様を決めさせる手法だ。そのスタイルは「要件定義支援」とか…
ブルシットジョブ(牛糞のような仕事)は、デヴィッド・グレーバーによる2018年の著書で注目された社会学的概念である。ブルシットとは「大仰に見えるが価値のない事物」くらいの俗語で、そんな仕事がじつは少なくないという指摘だ。経済や技術が発展する過…
基幹システム開発/刷新プロジェクトの「要件定義」の位置づけに、昔から違和感を持っている。たいていその作業はコンサルあたりの外部業者が担っている。彼らが半年くらいかけてユーザの要望をヒアリングして、パワポ紙芝居を含めた膨大な資料をまとめあげ…
現在の自治体システムの標準化は期限つきで進められている。当初に予定されていた2025年度末までに間に合いそうにないが、そもそも期限つきで進めるのはおかしい。自治体は個別の事情に合わせて独自の判断で標準化を受け入れ、進められるようであるべきだ。 …
わかりやすさのためにタイトルを待機児童の話っぽくしたが、医療福祉、老人福祉、介護福祉、障碍者福祉、生活保護といった広い業務分野をカバーするものだ。福祉事業者の許認可、利用待機住民の把握、適合施設への誘導、利用料の納付や支払といったさまざま…
自社ビルを建てることになって、あなたは責任者として打ち合わせに参加したと想像してほしい。そこで建築業者がこのように提案してきたらどうだろう。「より満足していただくために、御社のビジネスを分析させてください。ビルのデザインには御社のビジネス…
マイナンバーカードの問題が次から次に出てくるが、抜本的改革には艱難辛苦が付き物なので、個々の事案をいちいち気にしてもしょうがない。しかし全体として見れば、その進め方には「納税者の感情」への配慮が欠けていると言わざるを得ない。どういうことか…
ノーコード・ローコード開発のような実装過程の合理化が進展することで、DB設計が業務システム開発プロジェクトのカギであることが再認識されています。ノーコードだろうがローコードだろうがOOPだろうが、DB設計に失敗すれば陰鬱なデスマーチが始まる。デー…