設計者の発言

業務システム開発とデータモデリングに関する語り

2023-01-01から1年間の記事一覧

待機児童の状況を管理するためのデータモデル

わかりやすさのためにタイトルを待機児童の話っぽくしたが、医療福祉、老人福祉、介護福祉、障碍者福祉、生活保護といった広い業務分野をカバーするものだ。福祉事業者の許認可、利用待機住民の把握、適合施設への誘導、利用料の納付や支払といったさまざま…

システム設計に「ビジネス分析」は要らない

自社ビルを建てることになって、あなたは責任者として打ち合わせに参加した。そこで建築業者がこのように提案してきたらどうだろう。「より満足していただくために、御社のビジネスを分析させてください。ビルのデザインには御社のビジネスが反映されるもの…

マイナンバーの前に「予算管理の合理化・透明化」を

マイナンバーカードの問題が次から次に出てくるが、抜本的改革には艱難辛苦が付き物なので、個々の事案をいちいち気にしてもしょうがない。しかし全体として見れば、その進め方には「納税者の感情」への配慮が欠けていると言わざるを得ない。どういうことか…

「データモデリング合宿2023」のお知らせ

ノーコード・ローコード開発のような実装過程の合理化が進展することで、DB設計が業務システム開発プロジェクトのカギであることが再認識されています。ノーコードだろうがローコードだろうがOOPだろうが、DB設計に失敗すれば陰鬱なデスマーチが始まる。デー…

更新履歴と更新予約を「時限属性」で合理化する

マスター系テーブルの主キーにいちいち「適用開始日」や「履歴番号」が含まれているDB設計を見たことはないだろうか。品目マスターを例にすると主キーが{品目№}ではなく、{品目№+適用開始日}とか{品目№+履歴番号}のようになっていたりする。このよう…

「買占め」や「転売」を防止するためのデータモデル

行政や自治体のシステムを合理化する最大の目的は「住民の利便性向上」である。全国民が背番号管理される動きに対して世間では管理強化や個人情報の漏えいリスクが大きいといった批判に終始しがちだが、住民にとっての利便性向上や行政の透明化といった圧倒…

WEBサービスのためのデータモデル

WEBサービスのための汎用的なデータモデルを考えてみた。WEBサービスは事業にとっての特殊な商品カテゴリーに属するものではあるが、ソフトウエア分野として特殊ではない。専用の取引管理モジュールを伴うという特徴はあるものの、運用を支えるデータモデル…

野球のデータモデル:一球速報からペナントレースまで

WBCが楽しかったので、野球のペナントレースを表すデータモデルを考えてみた。まずは基礎となる球団や選手、およびそれらの年次成績(年次サマリ)の関係を見てほしい(図1)。 図1.基本情報のデータモデル 年次サマリには「セパ別年次サマリ」、「球団別…

所得税・住民税計算のためのデータモデル

固定資産管理と住民福祉管理に続いて、所得税と住民税の計算過程を合理化するために私なりに考えたデータモデルを紹介しよう。所得税は国税で、住民税は自治体税で市区町村とその所属都道府県に分配される。つまり、所得税の計算様式は自治体別に異なるわけ…

自治体の個別施策を取り込むためのデータモデル

日本では1700以上ある自治体が、個々に情報システムを開発・運用している。自治体あたりで平均すると年間2億円の開発・維持費がかかっているが、これは2008年に自治体システムを統合した韓国での5倍以上だ。この壮大な無駄を「ソフトウエア産業の振興になる…

デカいソフトウエアを構想できるようになろう

日本のIT技術者の給与レベルがあいかわらず低迷している。ヒューマンリソシアによる2020年の調査[1]では、給与レベルで18位、伸び率で20位だった。新型コロナ以降に世界的インフレが始まる以前の数字なので、現在ではもっと悪いだろう。この種の平均値から読…